前回書いたDavidの授業の記事、多くの人に読んで頂いたようなので、もう少し体験談を続けてみます。コメントで、「そのシーズンの成績は?」みたいな質問を頂きました。課題自体は破り捨てたもの以外にもたくさん同時進行して出てたので、別にそれひとつとって成績を評価されるものでもなかったように記憶しています。
ただ、課題の評価の付け方が多分独特だった気がします。

授業では、先生から色々な技術的なことやルールやセオリーなど美術やデザインやイラスト、写真などで必要な知識を学びます。授業中にデッサンやったり、絵を描いたり、撮影に出かけたり、暗室作業やったり。その辺はまぁ普通だと思います。そして、各授業で課題が山ほど出ます。次の授業までが締め切りのものや、数週間、1ヶ月先のものとかまちまち。同時進行でいろんな課題をこなします。まぁこれも割りと普通だと思います。

成績に関して、課題を提出して先生がそれを見て評価して返却ということはありませんでした。
まず、必ずどんな授業のどんな課題でも、課題提出の日は、クラスメイトの前で自分が作ってきた課題のプレゼンがあります。どういうコンセプトでこの作品を作ったか、どこが大変だったか、どういうことに気をつけたか、次に似たようなものを作ることがあったらどこを気を付けるか、自慢のポイントはどこか、などを発表します。クラスメイトは人のプレゼンに対して質問したり、自分はここが好きとかここが嫌いとか、自分ならもっとこうするとか、色々と議論をします。
クラスメイト全員が評価します。成績の元になる評価としては、議論が盛り上がった作品ほど良かったと思います。あとは、クラスメイトが付けた評価と先生の評価が総合的に加えられて成績が決まってました。


このプレゼンというのが社会に出てからとても重要です。
当時、英語がほとんど出来ないままアメリカに留学して、アートの学校ならそんなに英語ができなくても作品さえ作ればなんとかなるかも。なんて気楽に考えてたのは大間違いで、とにかく人前でのプレゼンとディベートが多かったので大変でした。アートの学校ですらこれだけやるのですから、ビジネスや法律、政治経済などの学校なんてきっともっと凄いと思います。


校長であり画家のCraig Freemanはいつもこう言っていました。
「歴史に名が残る有名なアーティスト達は、優秀なアーティストだったのと同時に優秀なビジネスマンだった。みんなが絵やデザインが好きで技術を磨いて、いくらいいものを作っても、ちゃんとそれをプレゼンできなければ、ただの趣味で終わってしまうぞ。」


ここからはわたしの個人的な見解。
前回のエントリーに対するコメントで(特にはてブのコメントに多いですが...)「社会に出たらこんなこともあるんだぞ。と口で言えばいいこと。生徒が時間をかけて作ったものを自分で破壊するような事はするべきではない。」と言うようなご意見がわりとあったように思います。確かに幼少の頃にそんなことされたら問題かもしれませんが、大学での最終学年です。高卒ですぐに学校に来てた人でももう大人ですし、アメリカでは一度社会に出て働いた後でも次のキャリアを目指して再度大学で学ぶ人も多いので、そういう人は更に経験を積んだ大人です。なので授業自体特に問題なかったと思います。
作品を自分で破り捨てる勇気は、制作する上で大切だと思っています。しかも一度作ったものは、もう過去のものです。同じものが必要ならまた作ればいいだけ。たぶん前回作った時間よりも早く、簡単に作れます。わりと作りながらも、次作る時はもっとこうしようなんて思いながらだったりするので、自分で壊せないと次進めないし向上しない気がします。自分の作品を愛せないなんてプロじゃない。ってコメントもありましたが、別に愛してないわけではなく、一度作ったものに執着することはないと思うのです。っていうかどっちかと言うと、人に破り捨てられる方がわたしはかなり凹みますw。
まぁ全員そうしろって言ってるわけじゃないので、それぞれが楽しく気分よくやればいいと思います。

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このブログを書いている人

おかだよういち:

Designer + Photographer

兵庫県相生市在住。 1986〜1992年までシアトルに滞在。Northwest College of Artのビジュアルコミュニケーション科でアート・写真・デザインを学ぶ。その後東京のデジタルイメージ制作会社FOTONに入社。6年間の広告ビジュアル制作で修行し、現在は関西でWeb制作や撮影を中心にフリーランスで活動すること十数年。各地のセミナーイベントなどに頻繁に出没する。

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